『逆転の競争戦略 ~企業の強みを弱みに変えるフレームワーク』第3版
『逆転の競争戦略
~競合企業の強みを弱みに変えるフレームワーク』第3版
山田英夫・著
2007年・生産性出版刊
ISBN978-4-8201-1847-3 C2034
本体2,500円
業界の2位以下に位置している企業の社員が、リーダー企業を逆転するにはどうすればいいかを示唆した本。同質的な消耗戦でリーダー企業を攻撃する時代は終わり、少しだけ頭を使って考えれば、リーダーが追随できない戦略はたくさんある、と著者は言う。
古い本だが、結構示唆に富んだ一冊であった。それと、山田先生の本は読みやすい。単に読みやすいだけでなく、中身が濃いように、いまの自分には思える。
●「リーダーとは決して安泰な地位ではなく、むしろあらゆる企業から標的となされるリスキーなポジションである」
●「リーダーは、その競争優位の源泉から転落が始まる」
●「リーダーが追随しにくい戦略こそが、逆転を狙うチャレンジャー企業の戦略である」
本書のあとがきに書かれているこの3点が、まさに本書の主旨である。
リーダー企業が追随しにくい戦略の例がたくさん挙げてあり、その中にはやや強引な解釈あるいは分類に思える事例もあるにはあるが、“必殺系”と私が呼ぶ、なんでも例外を認めずにひとつの法則に当てはめて論じようとする強引さは感じない。
以下、メモとして列挙。
・一般に競争業者というと、同業他社を考える場合が多いが、業界の外にもリーダー企業にとって恐ろしい敵がいる。マーケティング研究者のマッキャモンは、小売セクターにおける競争形態として次の4つを示した。p47
①同業種間競争(本質的に同じタイプの小売店間の競争)
②異業種間競争(本質的に異なった営業タイプの小売店間の競争)
③システム間競争(垂直的に統合されたシステム間の競争)
・リーダー企業がその地位から転落したケースを分析すると、次の3タイプの競争業者が影響を及ぼしたことがわかる。p49
①業界破壊者(業界そのものを破壊)
②侵入者(他業界から参入してくる)
③挑戦者(同業内から攻撃してくる)
・非連続的技術革新(アナログ→デジタル、接触→非接触、電磁気→光など)
技術の不連続期には、「攻撃側の企業のほうが、防御側の企業よりも有利である」byフォスター p62
・価格の常識を破壊する。p133
「価格」の役割は、「価値表示」にあるby鳩口・石井
つまり価格は、顧客に対してその製品やサービスの持つ価値を伝える重要な手段。
・事業を規定する要因は、顧客(C)、機能(F)、技術(T)の三要素にあるbyエイベルp140
・同質化政策p166
チャレンジャー企業がとってきた差別化戦略に対して、リーダー企業が持つ相対的に優位な経営資源によってそれらを模倣・追随し、その差別化効果を無にしてしまう政策。