orenobook’s diary

読んだ本を気まぐれで紹介しています

『迷えるリーダーがいますぐ持つべき1枚の未来地図』

『迷えるリーダーがいますぐ持つべき1枚の未来地図』

横田伊佐男 著  日経BP社 2020年4月刊

ISBN978-4-296-10607-3 A」5判・272ページ 本体:1,800円(税別)

 

 遅読家の私が、2日半で読み終えました。終始物語風の展開なので、一気に読了することも不可能ではないでしょう。

 

 Google社の「10x(テンエックス)」という考え方を知りませんでした。現在の売上が5,000万円だから、毎年何とか15%ずつ伸ばしていこう!なんて発想ではなく、「論理的でなくてもいいから目標は10倍に設定する」べき、と著者は言います。バックキャスティング的に、なんてことを言われることがあるかもしれませんが、10倍の売上を数年以内に達成するためには、現在のビジネスの延長ではダメだという発想の転換がスムーズにおきます。

 「リーダーは鳥の目を持って戦略を決める。

        スタッフは虫の目を持って戦術を実行する。」

 これが、本書で繰り返し述べられている、リーダーとスタッフの役割分担の概念です。リーダーがWhatを決め、スタッフがHowを考える。様々な本にもかかれていますが、この物語風の展開と相まって、とても分かりやすくてスッと腹落ちしました。

 NETFLIX社の、日本での拡大戦略には大変感心しました。テレビリモコンの一番いい場所を、同社が買い取ったのです。リモコン製造コストのたった1割を負担するだけで、10年くらいはそのテレビ所有者宅で(ロゴだけですが)宣伝できるわけです。リーダーが風を読み、スタッフが知恵を振り絞って交渉もした、ということでしょうか。

 コピーライティングの章も印象深いです。ターゲットと提供価値を定め、顧客にとってのベネフィットをはっきりさせる。メリットは売りて視点で、顧客視点はベネフィットである。買い手から見た、良いこと、嬉しいこと。そのうえで、キャッチコピーは4大法則(得つまりベネフィット、新情報、好奇心、簡単)のどれかを含ませて、客を惹きつける。いっぽうでボディコピーは、3要素(共感、納得、行動)を重視する。ロバート・コリア―による「セールスレター6フレーム」という手法。

共感(1.書き出し→2.描写や説明)

→納得(3.動機や理由付け→4.保障や説明)

→行動(5.決め手の一言や不利益→6.結び)

という展開を、逆から書きます。本文にある例でいうと、

1.あんなこと、こんなこと、あっという間の20年

2,晴れのお祝いに、一生の思い出作り 

3,新成人へ大人からのプレゼント 

4,窯焼き本格ピザをその場で無料提供 

5.新成人のみ限定300食。早い者勝ち。 

6.場所は〇〇にて、〇時開店 といった具合。

このコピー、1番から考えていくことが多いと思いますが、逆に6番からならきれいに書けそうな気がしませんか。

 

 いつもながら単なるメモというか感想というか、脈略のない文章になってしまいましたが、程よいバランスと深さ、そして読みやすい筆致がすみずみまでいきわたっている本書は、手軽に何度も読み返せる、バランスの良い1冊でした。これで1,800円は安い、かな?まあとにかく、読んでみてください。

 #横田伊佐夫男 #MBA #リーダー